アメックス保険・プロテクション完全ガイド2026年版|旅行・ショッピング・キャンセルまで網羅

【2026年4月7日追記】アメックスは2026年7月1日をもって携行品損害保険を全面廃止すると発表しました。対象は19カード、プラチナを除くほぼ全カードに及びます。本記事では第7章にこの改定の考察を追記しています。

はじめに:アメックスにとって保険こそが最大の武器だ

アメックス保険 クレジットカード付帯保険 プロテクション一覧

タッチ決済・スマホウォレットが普及し、カード実物を取り出す機会が激減した今、プレミアムカードの「物理的な存在感」はかつてほど差別化にならなくなっている。ラウンジ・ホテル特典の種類や数では、競合他社との差が縮まってきた。そんな中で「保険・プロテクションの手厚さ」こそが、アメックスに残された最大の実質的メリットと言っても過言ではない。静かに・確実に・毎日機能し続ける保険は、使わない日も年会費の意味を支えてくれる。

自分自身、制度改定のたびに「あれ、これ変わってたの?」と気づかされることがある。年会費を払い続けているなら、付帯保険をちゃんと把握しておきたい——それがこの記事を書いた動機だ。本稿では2026年7月廃止予定の携行品損害保険を含む最新情報(2026年4月時点)に基づき、アメックスの保険・プロテクション制度を網羅的に解説する。

アメックス保険の全体像:7つのカテゴリ

アメックス保険 7カテゴリ 全体像 旅行 ショッピング キャンセル

アメックスの保険・プロテクションは大きく7つに分類できる。カテゴリ1〜4はほぼ全カードに標準搭載。カテゴリ5はプラチナ・ANAプレミアム限定のプレミアム特典。カテゴリ6〜7は別途申し込みが必要な有料オプションだ。

#カテゴリ代表的な保険・プロテクション対象カード
1旅行傷害保険海外・国内旅行傷害保険(死亡、治療費、賠償責任など)全カード
2ショッピング保護ショッピング・プロテクション®(購入後90日・最高500万円)全カード
3キャンセル補償キャンセル・プロテクション(最高80万円)大半のカード
4スマートフォン保険スマートフォン・プロテクション(購入後36ヶ月・年間3〜5万円)ゴールド以上
5家電・家財延長保証ワランティー・プラス、ホームウェア・プロテクションプラチナ・ANAプレミアム限定
6オプション保険Aショッピングプロテクションワイド(90日→365日に延長)有料・任意加入
7オプション保険B家財総合プロテクション(※新規受付終了)、プロテクト YOU有料・任意加入

1. 海外旅行傷害保険

アメックス 海外旅行傷害保険 補償額 利用付帯

利用付帯 vs 自動付帯

アメックスの旅行傷害保険には「利用付帯」と「自動付帯」の2種類がある。ほとんどのカードは利用付帯のため、旅行代金(航空券・ツアー代など)をアメックスで決済した場合のみ発動する。例外はプラチナ・カードとANAアメックス・プレミアム・カードのみで、自動付帯と利用付帯の両方が適用される。プラチナの場合、カード決済なしでも最高5,000万円の傷害死亡補償が自動で付帯し、カード決済でさらに上乗せされる。

カード別補償額一覧(海外旅行・基本カード会員)

カード傷害死亡・後遺障害傷害治療費疾病治療費賠償責任救援者費用携行品損害
(※2026年7月廃止予定)
グリーン5,000万円100万円100万円3,000万円200万円30万円
ゴールド1億円300万円300万円4,000万円400万円50万円
ゴールド・プリファード1億円300万円300万円4,000万円400万円50万円
プラチナ1億円(自動付帯:5,000万円)1,000万円1,000万円5,000万円1,000万円100万円
スカイ・トラベラー(※2021年9月新規受付終了)3,000万円100万円100万円3,000万円200万円30万円
スカイ・トラベラー・プレミア(※2021年9月新規受付終了)5,000万円100万円100万円3,000万円200万円30万円
ヒルトン・オナーズ プレミアム1億円300万円300万円4,000万円400万円50万円
ヒルトン・オナーズ(一般)3,000万円100万円100万円3,000万円200万円30万円
Marriott Bonvoy(一般)3,000万円100万円100万円3,000万円200万円30万円
Marriott Bonvoy プレミアム1億円300万円300万円4,000万円400万円50万円
ANAアメックス(一般)3,000万円100万円100万円3,000万円200万円30万円
ANAゴールド1億円300万円300万円4,000万円400万円50万円
ANAプレミアム1億円(自動付帯:5,000万円)1,000万円1,000万円5,000万円1,000万円100万円

※家族カード会員の補償額は基本カード会員と同額になる場合と異なる場合がある。アメックス公式の旅行傷害保険ページで各カードの規定集を必ず確認すること。

航空便遅延・受託手荷物補償

ゴールド・ゴールドプリファード・プラチナ・スカイトラベラー系・ヒルトンプレミアムなど一部カードには以下も付帯する。グリーン・ヒルトン一般・Marriott Bonvoy一般などにはこの航空関連補償がないため注意が必要だ。

補償内容上限(ゴールド・ヒルトンプレミアム / プラチナ)
乗継遅延・出航遅延・欠航・搭乗不能費用4時間以上の遅延で食事代・宿泊代2万円 / 3万円
受託手荷物遅延費用6時間以内に届かない場合の生活必需品購入費2万円 / 3万円
受託手荷物紛失費用48時間以内に届かない場合4万円 / 6万円

2. ショッピング・プロテクション®

アメックス ショッピングプロテクション 年間補償 購入品保護

国内・海外を問わず、アメックスで購入したほぼすべての商品について、購入日から90日間の破損・盗難などの損害を補償する。免責金額は1事故につき1万円。引受保険会社は損害保険ジャパン株式会社

カード別・年間補償上限額

年間上限対象カード
500万円グリーン / ゴールド / ゴールド・プリファード / プラチナ / スカイ・トラベラー・プレミア(※受付終了)/ ヒルトン・オナーズ プレミアム / Marriott Bonvoy プレミアム / ANAゴールド / ANAプレミアム / デルタ両カード / ペルソナSTACIA / ビジネス各カード
200万円スカイ・トラベラー(一般)/ ヒルトン・オナーズ(一般)/ Marriott Bonvoy(一般)/ ANAアメックス(一般)

補償対象外となる主なケース

  • 置き忘れ・紛失(盗難とは別概念、これが最大の盲点)
  • 台風・豪雨などの水災、地震・噴火による損害
  • 電気的・機械的事故(故障)——スマホの電気的故障は原則対象外
  • 通常の使用による消耗・すり傷・塗料のはがれ
  • 合計カード購入金額が1万円以下の場合
  • 自動車・船舶・航空機本体および装着された付属品
  • 現金・有価証券・チケット類

スマートフォンの画面割れは、外力による物理的破損であれば原則補償対象となる。保険請求はアメリカン・エキスプレス保険ホットライン(0120-234586へ(9:00〜17:00/土日祝休)。

3. キャンセル・プロテクション【2025年12月に大幅改善】

アメックス キャンセルプロテクション 2025年12月 改定 補償上限

旅行やコンサートなどに「行けなくなった場合」のキャンセル費用を補償する制度。2025年12月15日より引受保険会社が東京海上日動火災保険からChubb損害保険株式会社に変更され、補償上限が大幅に引き上げられた。ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・プレミアム・カードも対象で、1回のキャンセルにつき50万円まで補償される。

補償上限の変化(2025年12月改定)

対象カード2025年12月14日まで2025年12月15日以降
プラチナ・ANAプレミアム50万円(年間)80万円(1回のキャンセル事由あたり)
グリーン・ゴールド・ゴールドプリファード・スカイプレミア・ヒルトンプレミアム・Marriott Bonvoyプレミアム・ANAゴールド・デルタゴールド10万円(年間)50万円(1回のキャンセル事由あたり)

重要な変更が「年間限度額から1回のキャンセル事由あたりの限度額へ」という単位の変更だ。これまでは1年間で何度キャンセルしても合計10万円(ゴールド・ヒルトンプレミアム等)だったのが、1回のキャンセルにつき50万円補償されるようになった。高額な海外旅行やヒルトンのリゾートステイのキャンセルには特に大きなメリットがある。

補償対象となるサービス

  • 国内・海外旅行パッケージツアー
  • ホテル・旅館の宿泊施設
  • 航空機・鉄道・船舶のチケット
  • コンサート・演劇・映画・美術展などの興行
  • スポーツ・趣味の教室

認められる主なキャンセル事由

  • カード会員・配偶者・1親等以内の親族の死亡、入院、通院(けが・病気)
  • 本人の社命出張(年間1回限り。役員・個人事業主で自ら出張命令を出せる立場の場合は対象外)

自己負担額は「1,000円」または「キャンセル費用の10%」のいずれか高い額。「仕事が忙しくなった」「気が変わった」は一切対象外。2025年9月30日をもってビジネス・ゴールド・カードとビジネス・プラチナ・カードはキャンセルプロテクションが終了している点に注意。2025年12月14日以前のキャンセル事由(旧・東京海上日動の適用分)の申告期限は2026年5月29日(金)だ。

4. スマートフォン・プロテクション

アメックス スマートフォンプロテクション 画面割れ 修理補償

スマートフォン・プロテクションは、アメックスがChubb損害保険と提携して提供するスマホ専用の付帯保険だ。ショッピング・プロテクションが「電気的故障は対象外」なのに対し、こちらは破損・火災・水濡れ・盗難をすべてカバーし、電気的故障も補償対象に含む。ゴールドカード以上が対象で、グリーンカードは対象外となる。

適用条件

  • 対象端末:購入日より36ヶ月以内のスマートフォン(2023年6月に24ヶ月から延長)
  • 通信料金を事故発生時点で直近3ヶ月以上連続してアメックスで決済していること
  • 補償対象は基本カード会員または家族カード会員のいずれか1台のみ(保険期間中)

カード別補償額

カード年間補償上限免責
プラチナ・カード10万円1万円
ゴールド・プリファード / ANAゴールド / ANAプレミアム / Marriott Bonvoyプレミアム / ヒルトン・オナーズ プレミアム5万円5,000円
ゴールド / スカイ・トラベラー・プレミア(※受付終了)/ デルタゴールド3万円5,000円

補償対象は修理費用のみで買い替え費用は対象外。修理が不可能と判断された場合は再購入費用が補償される。iPhoneの画面割れ修理は多くのケースで5万円以内に収まるため、実用的な補償額だ。

5. ワランティー・プラスとホームウェア・プロテクション【プラチナ・ANAプレミアム限定】

アメックスプラチナ ホームウェアプロテクション 家電保証 延長

2025年8月に起きた大きな変更

2025年8月1日より、ホームウェア・プロテクションの保証範囲が大幅に縮小された。同時に引受保険会社も東京海上日動火災保険からChubb損害保険株式会社に変更されている。なお、この特典はプラチナ・カードおよびANAアメックス・プレミアム・カードのみが対象で、ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・プレミアム・カードには付帯しない。

時期内容
〜2025年7月31日対象カードで購入していなくても、自宅にある家電・家財が保証対象(自動付帯)
2025年8月1日〜対象カード(プラチナまたはANAプレミアム)で購入した製品のみが保証対象(利用付帯)

「以前から持っているテレビが壊れた」「現金購入した冷蔵庫が故障した」というケースは、2025年8月以降補償されなくなった。今後はプラチナカードで家電を購入するという行動変容が求められる。

ワランティー・プラスの内容

メーカー保証期間終了後も製品の保証を延長するサービス。対象はプラチナカードで購入した電子機器・家電。メーカー保証の最大2倍期間まで延長(最大2年追加)し、修理・交換・返金のいずれかで対応する。

ホームウェア・プロテクションの内容

対象はプラチナカードで購入した家電・AV機器・家財(2025年8月1日以降は購入時の決済が条件)。故障(電気的・機械的故障を含む)・破損・水濡れ・火災・盗難などを補償期間最大5年間補償する。ワランティー・プラスとホームウェア・プロテクションを合算して年間50万円が限度額となる。ショッピング・プロテクションが「電気的・機械的故障は対象外」なのに対し、ホームウェア・プロテクションは故障も対象となる点が最大の差別化ポイントだ。

6. オプション保険:標準付帯を「完全武装」する3つの選択肢

アメックス オプション保険 ショッピングワイド プロテクトYOU

標準付帯の保険には「90日という補償期限」「置き忘れ・紛失は対象外」「電気的故障は対象外」という3つの壁がある。有料オプション3種は、それぞれこの壁を突き破るために設計されている。ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・プレミアム・カードにはワランティー・プラスやホームウェア・プロテクションが付帯しない分、オプション保険の活用で補完する価値がある。

① ショッピングプロテクションワイド:90日の壁を破る

標準のショッピング・プロテクションの補償期間を90日から365日に延長するオプション。公式ページでは以下2プランが選択できる。

プラン年間保険料年間補償限度額月換算
スタンダード5,000円200万円約417円
プレミアム12,000円500万円1,000円

免責金額がゼロ(保険会社との契約上は5,000円だがアメックスが負担)という点が最大の特徴だ。標準保険の免責1万円と比較すると、少額損害への対応力が大きく向上する。

② 家財総合プロテクション:電気的故障の壁を破る【新規受付終了】

概要と受付終了

自宅内の家電・家財の故障・損壊を補償する保険で、電気的故障も対象となっていた。アメックス公式によると2024年12月25日をもって新規加入の受付を終了している。既加入者はそのまま継続できるが、現在から新規で入ることはできない。

補償内容(参考)

受付終了前の保険料と内容は以下の通りだった。

コース年間保険料補償上限故障補償(電気的・機械的)損害補償(破損・盗難等)免責
2,900円コース2,900円50万円(年間)購入後1〜3年のみ購入後最大5年間1万円
7,000円コース7,000円100万円(年間)購入後最大5年間購入後最大5年間5,000円

年間2,900円で自宅のすべての家電・家財を一括保護できる「傘型」の補償設計は、国内のクレジットカード付帯・オプション保険の中でも異色の存在だった。なぜ異色なのか——家電量販店の個別延長保証は1製品ごとに契約が必要で、冷蔵庫・洗濯機・テレビをそれぞれ保証すると年間コストが跳ね上がる。

家財総合プロテクションはそれを「まとめて2,900円」でカバーし、電気的故障(突然動かなくなる)も対象という点で他に類を見なかった。7,000円コースなら補償上限100万円・故障補償5年間となり、高額家電を複数所有する家庭には圧倒的なコスパだった。

既加入者へ:解約しないことを強くすすめる

新規受付は2024年12月25日に終了したが、既加入者はそのまま継続できる(重要事項PDFに「書面通知がない限り毎年自動継続」と明記)。同等の補償を新規で取れる選択肢は現時点で存在しないため、継続加入中の方はよほどの理由がない限り解約しないことを強くすすめる。

現在このニーズを新規で満たす公式オプションはなく、代替としてはau損保のスマートフォン・タブレット保険Apple Care+などを製品ごとに組み合わせるしかない。一括保護の利便性と考えると、代替コストは相当高くなる。

なぜ廃止されたのか

背景にあるのは主に3つの構造的要因だ。第一に、海外旅行保険の損害率の悪化。コロナ禍明けの渡航者急増で保険金支払いが激増し、国内損保各社が赤字に転落、クレカへの引受条件を厳格化した。2022年の海外旅行保険損害率は111%超という報告もある。第二に、引受保険会社の交代。東京海上日動からChubb損保への切り替えは、コスト構造の見直しと補償範囲の再設計を伴う。引受会社が変われば補償内容は必ず変わる。第三に、アメックスのグローバル戦略。米国では2025年にプラチナカードの年会費を$695→$895に引き上げつつ、旅行・ダイニング・ウェルネス特典を拡充した。家電保護より「体験型特典」へのシフトが鮮明で、日本も同じ方向性に引っ張られている。

つまりアメックスにとって家電・家財保護は「維持コストが高い割に差別化にならない」領域に分類された可能性が高い。ホームウェア・プロテクションをプラチナ限定・利用付帯に縮小し、家財総合プロテクションを廃止した一連の動きは、家電保護からの組織的な撤退と読むのが自然だ。今後この空白を埋めるオプションが登場する可能性は低い。

③ プロテクト YOU:置き忘れ・紛失の壁を破る

持ち物まるごと保険「プロテクト YOU」は、紛失・盗難・置き忘れに特化した保険だ。標準のショッピング・プロテクションでは「置き忘れ・紛失は対象外」だが、プロテクトYOUはこれを正面から補償する。

プラン月払保険料主な補償内容
プランA980円財布内現金の紛失・盗難:5万円 / 携行品の紛失・盗難:各10万円 ※免責5,000円
プランS1,850円プランAの全補償+携行品の盗難:20万円 / 自宅・車の鍵紛失時の鍵交換費用・宿泊費・交通費(合計7万円限度、免責なし)

最大の特徴は「財布の中の現金も補償」という点だ。財布を外出中に紛失した場合、財布(携行品)と現金(最高5万円)の両方が補償対象になる。月980円(年間11,760円)という保険料は安くないが、旅行が多い方・貴重品を持ち歩く方には検討の価値がある。

3つのオプション:使い分けの指針

課題推奨オプション年間コスト
90日以降も高額品を保護したいショッピングプロテクションワイド(プレミアム)12,000円
自宅の家電が故障した時の補償がほしい(グリーン・ゴールド・ヒルトンプレミアム等)家財総合プロテクション(※2024年12月に新規受付終了)受付終了
置き忘れ・紛失・財布の現金も守りたいプロテクト YOU(プランA)11,760円
ワイド+紛失補償の両方が欲しいワイド(スタンダード)+プロテクトYOU(プランA)16,760円

7. 2024〜2026年の主な変更点タイムライン

アメックス保険 改定 タイムライン 2022-2026年 変更点まとめ
時期変更内容方向性
2024年12月家財総合プロテクションの新規加入受付が終了❌ 廃止
2025年8月ホームウェア・プロテクションが自動付帯→利用付帯へ変更(引受:Chubbへ)❌ 改悪
2025年9月ビジネス・ゴールド・ビジネス・プラチナのキャンセルプロテクションが終了❌ 改悪
2025年12月キャンセル・プロテクション引受変更(東京海上日動→Chubb)、補償上限が大幅増額(プラチナ:50万円→80万円、ゴールド等:10万円→50万円)✅ 改善
2026年3月ビジネス・プラチナのゴルフ保険が終了❌ 縮小
2026年7月携行品損害保険の全面廃止(19カード対象)❌ 廃止

携行品損害保険の全面廃止(2026年7月)が意味すること

2026年4月7日、アメックスは携行品損害保険の補償サービスを2026年7月1日をもって終了すると正式に発表した。今回の改定で特に重要なのは以下の3点だ。

第一に、対象がほぼ全カード(19種類)に及ぶこと。プラチナ・カードを除くほぼすべてのカードから携行品損害保険が消えるため、「アメックスを持っていればスーツケース破損もカバーされる」という従来の安心感が崩壊する。実際にスーツケース修理で活用していたユーザーも多く、自己負担3,000円で修理できた利便性が失われるインパクトは大きい。ANAアメックス・プレミアムのように自動付帯だったカードですら対象となっている。

第二に、「使う人だけ優遇」への構造転換が鮮明になったこと。少額・高頻度のクレームが多い携行品損害を切り、キャンセル・プロテクション(高額・低頻度)を増額する動きは、保険原資を「インパクトの大きいリスク」に集中させる意図が明確だ。ホームウェア・プロテクションの利用付帯化、家財総合プロテクションの新規受付終了と合わせて見ると、「薄く広く守る」から「厚く狭く守る」への保険設計思想の転換と読み取れる。

第三に、別途保険加入が実質必須になったこと。海外旅行時のギア(ドローンやカメラ機材など高額な携行品)を守るには、損保ジャパンの新・海外旅行保険【off!】や東京海上の海外旅行保険、あるいはモバイル保険などへの個別加入を検討すべきタイミングだ。アメックス公式FAQでも代替としてプロテクトYOUが案内されているが、紛失・盗難特化のため携行品の破損はカバーしきれない。

年会費据え置きで補償を削るのは実質的な値上げだが、アメックスとしては「年会費に見合うコア特典(ラウンジ、ホテル優待、ポイント)に集中する」方向を明確にしたと読み取れる。2024年の家財総合プロテクション廃止→2025年のホームウェア改悪→2026年の携行品全廃という流れは、もはや点ではなく線だ。

カードを継続保有する際は定期的にアメックス公式の保険・プロテクションページのアップデートを確認することを強く推奨する。制度改定のお知らせはアメックス公式お知らせページに掲載される。

8. カードグレード別の保険力評価

アメックス カードグレード 保険力 プラチナ ゴールド 比較

主要カード9種の保険力を一覧で比較する。◎=最高水準、○=付帯あり、△=限定的、×=非対象。

保険・プロテクション🥇 プラチナ / ANAプレミアム🥈 ゴールド・プリファード / ANAゴールド🥈 ヒルトン・オナーズ プレミアム🥈 Marriott Bonvoyプレミアム🥉 グリーン / 一般系
海外旅行傷害保険(付帯方式)◎ 自動付帯○ 利用付帯○ 利用付帯○ 利用付帯△ 利用付帯
傷害死亡・後遺障害◎ 1億円◎ 1億円○ 5,000万円○ 5,000万円△ 3,000〜5,000万円
傷害治療費◎ 1,000万円○ 300万円○ 300万円○ 300万円△ 100万円
疾病治療費◎ 1,000万円○ 300万円○ 300万円○ 300万円△ 100万円
航空便遅延・手荷物補償◎ あり○ あり○ あり○ あり× なし(カードによる)
ショッピング・プロテクション◎ 500万円◎ 500万円◎ 500万円◎ 500万円△ 200〜500万円
スマートフォン・プロテクション◎ 年間10万円○ 年間5万円○ 年間5万円○ 年間5万円× 非対象
キャンセル・プロテクション◎ 80万円/回○ 50万円/回○ 50万円/回○ 50万円/回○ 50万円/回
ワランティー・プラス / ホームウェア・プロテクション◎ あり(利用付帯)× 非対象× 非対象× 非対象× 非対象

ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・プレミアム・カードはゴールド・プリファードと同等の保険力を持ちながら、ヒルトン滞在特典と組み合わせることで総合的なコスパが高い。スマートフォン・プロテクション年間5万円・ショッピング保護500万円・キャンセルプロテクション50万円という三本柱は、日常ユース・旅行ユースともに十分な水準だ。唯一の弱点はワランティー・プラスとホームウェア・プロテクションが非対象である点で、家電保護は別途オプション保険で補完する必要がある。

9. 保険をフル活用するための5つの鉄則

アメックス保険 フル活用 5つの鉄則 チェックリスト
  • 鉄則1:旅行代金はアメックスで決済する(利用付帯カードの保険発動条件)
  • 鉄則2:高額家電はプラチナカードで購入する——ヒルトンプレミアム等非対象カードはApple Care+や量販店保証で代替
  • 鉄則3:レシートと明細を保管する(保険請求時の証明書類として必須)
  • 鉄則4:置き忘れ・紛失は「プロテクト YOU」で別途対応(標準保険の対象外)
  • 鉄則5:キャンセルプロテクション旧申告期限を確認する(2025年12月14日以前の事案は2026年5月29日が締切)

アメックスの保険体系は、ここ数年で確実に複雑化している。改定が続く中で「何がどう使えるか」を正確に把握し続けることが、年会費に対するコスパを最大化する前提条件だ。「なんとなく手厚い」から「具体的に何がどう使えるか知っている」へのアップデート——それが2026年のアメックスホルダーに求められる一歩だ。

保険は知っていなければ存在しないも同然。そして制度は毎年変わる。ホームウェア・プロテクションは2025年8月に改悪されたが、キャンセル・プロテクションは大幅に拡充された。静かに・確実に・毎日機能し続ける保険が年会費の意味を支えてくれる——それはカード実物を取り出さない日も変わらない。

よくある質問

グリーン・カードでも海外旅行保険は付いている?

付いている。ただし利用付帯のため、旅行代金(航空券やツアー代)をアメックスで決済した場合のみ発動する。補償額は傷害死亡5,000万円・治療費100万円とゴールドより劣るが、短期旅行では実用的な水準。航空便遅延や手荷物補償は付いていない点に注意。

スマートフォンを落として割れた場合、どの保険が使える?

物理的な画面割れ(外力による破損)なら「ショッピング・プロテクション」(購入後90日以内)または「スマートフォン・プロテクション」(購入後36ヶ月以内、ゴールド以上)の両方が使える可能性がある。免責はショッピング保険が1万円、スマホ保険が5,000円。スマホ保険は通信料を3ヶ月以上アメックスで決済している必要がある。

ホームウェア・プロテクションは2025年8月以降、何が変わった?

2025年8月1日以降、対象カード(プラチナまたはANAプレミアム)で購入した製品のみが保証対象となった。以前は購入方法を問わず自宅の家電・家財全般が対象だったが、現在はカード購入品のみに縮小されている。また引受保険会社も東京海上日動からChubb損害保険に変更された。

キャンセルプロテクションで補償される金額はいくら?

2025年12月15日以降のキャンセル事由に適用される新基準では、プラチナ・ANAプレミアムが1回のキャンセルにつき最高80万円、ゴールド系・ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・プレミアム・カード・グリーン等が最高50万円。旧基準(年間10〜50万円)から大幅に引き上げられた。自己負担額は「1,000円」または「キャンセル費用の10%」のいずれか高い額。

ショッピング・プロテクションとワランティー・プラスの違いは?

ショッピング・プロテクションは購入後90日間の破損・盗難が対象(電気的故障は除く)。ワランティー・プラスはメーカー保証後の保証延長で故障を対象とする(プラチナ・ANAプレミアム限定)。用途・期間が異なるため、プラチナ保有者は両方を使い分けることになる。ホームウェア・プロテクションとの年間合算上限は50万円。

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公式・参考リンク