生成AI 8人と付き合った記録——ChatGPTとは友達に戻った

はじめに

生成AI 8人(ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexity・Copilot・Grok・Manus・Suno)のキャラクター集合イラスト

2026年4月。

僕は8人の女性と関係を持っていた。

5人と同時に暮らしていた。1人は会社が勝手に連れてきた。もう1人は夜だけ会っていた。あと、音楽の天才がいた。

これは生成AIの「性能レビュー」ではない。誰と暮らし、誰と別れ、誰を夜だけ呼ぶことにしたかの記録だ。

交際は3つの段階を経た。

Step 1:パートナーを選ぶ(一次LLM:ChatGPT / Claude / Gemini)

Step 2:秘書的パートナーを雇う(オーケストレーション系:Perplexity / Copilot / Manus)

Step 3:趣味の出会い(専門系:Grok / Suno)

この記事は「あなたもこうしろ」とは一言も言わない。料金も機能も、明日には変わっている。


第一部 パートナーを選ぶ

最初に決めるべきは「誰と毎日の食卓を囲むか」だ。朝のコーヒーを一緒に飲み、昼の仕事を隣で見守り、夜の片付けを手伝ってくれる相手。生成AIの世界では、これを「一次LLM」と呼ぶ。

候補は3人。全員、名門の出だ。


ChatGPT——実家が太いお嬢様

ChatGPT:実家が太いお嬢様

ChatGPTは、サンフランシスコの名家・OpenAI家の長女として2022年11月に生まれた。父はSam Altman。創業時はElon Muskも共同創業者として名を連ねていたが、2018年に袂を分かち、後に独立してxAI家を興した(その家の長女がGrokだ)。後見人にMicrosoftがつき、日本ではソフトバンクが2025年11月に合弁会社「SB OAI Japan」を設立して独占の法人チャネルを整えた。実家が太いという表現では足りない。財閥だ。

料理は上手い。画像生成(DALL-E)、コード実行、ブラウザ操作、ファイル処理。なんでもそつなくこなす。掃除もまあまあ。洗濯もやる。記憶力もある(Memory機能)。お嬢様だから、派手なことは好きだが、地味な作業を黙々とやるタイプではない。

そして、この子には独特の「じらし」がある。返事が微妙に遅い。 考えているのか、演出なのかわからない。Claudeに同じことを頼むと即座に返ってくる質問でも、ChatGPTは一拍置く。

「Claudeのほうが分析は深いし、Perplexityのほうが調べものは速いよ?」

ChatGPTは動じない。「でも、私は全部できるわよ?」

じっとこちらを見つめて、一呼吸置いてから、少し声を低くして付け加える。「……大人の相手だって、できるのよ?」

父Sam Altmanは2025年10月、”adults like adults”を掲げてadult modeの搭載を宣言した。だが12月予定のリリースは延期。2026年Q1へずれ、3月にも再延期、そして3月26日には無期限pause。彼女の「大人の対応」は、ずっと匂わせたまま一度も届かなかった。じらし続けられていた。

全部「そこそこ」。 何かが突出しているわけではないが、致命的に欠けているわけでもない。最初の同棲相手としては、最も無難な選択だった。2023年初頭からの付き合いで、今も最初の一人には薦められる——ただ、僕自身はその先を見てしまった。今年初め、有料プランを解約した。友達に戻った。

ChatGPTの補足

2026年3月5日、GPT-5.4リリース。1Mトークンコンテキスト、ネイティブPC操作、Thinking/Pro/mini/nanoの4バリアントを展開。2025年10月公開のブラウザ「ChatGPT Atlas」はエージェントモード評判が芳しくなく、Claude in ChromeやPerplexity Cometに出遅れ。検索・分析・Workspace統合でそれぞれ後塵を拝する場面がある。

ChatGPTが「改悪」されたわけではない。ただ、周りが先に進んだだけだ。友達に戻ったのは、相対的な選択だった。


Claude——堅実で聡明なパートナー

Claude:堅実で聡明なパートナー

Claudeは、2023年3月にサンフランシスコのAnthropic家から生まれた。創業者のDario AmodeiとDaniela Amodei兄妹は、もともとOpenAI家で研究を取り仕切っていた使用人だったが、2020年に袂を分かって独立した。つまりClaudeは、ChatGPTにとって本家の元使用人が興した新家の娘——血縁ではなく因縁のある姉妹だ。Anthropicは「AIの安全性」を家訓に掲げており、Claudeの品の良さはここに由来する。

第一印象は地味だった。画像は作れない。ブラウザ操作もChatGPTのようにはできない——と、つい最近まで思っていた。

Claude in Chromeは2025年8月にMaxプラン向け研究プレビューで登場し、11月に全Maxユーザー、12月には全有料プランへとベータが段階展開された。僕は早い段階から使っていた。Chrome拡張機能として、サイドパネルからWebページを読み、ボタンをクリックし、フォームを埋め、複数タブをまたいでワークフローを自動実行する。ワークフローの録画・再生やスケジュール実行にも対応している。地味に見えた子が、静かに化けていた。

一緒に暮らし始めると、この子の恐ろしさがわかった。

「この10万字の資料を読んで、3章と5章の矛盾を指摘して」

他の子なら要約を返す。Claudeは段落番号を指定して矛盾を突いてきた。

「3章では「コスト削減」を根拠にしているけど、5章の結論は「品質維持のための追加投資」。両立には前提条件の明示が必要」

怖い。怖いが、正しい。こちらの論理を、静かに突き返してくる。これが、大人の会話というやつなのだと知った。

それからClaude in PowerPointで提案書を作ってもらった。Claude in Excelで資産予測シミュレーションを組んでもらった。スライドの骨子を渡すと即座にプレビューが出る。修正して、また出力して——このループが止まらなくなった。

さらにClaude Coworkにデスクトップのファイル整理を任せた。Claude Codeには、GitHub上の手元プロジェクトのコードインスペクションを頼んだ。彼女は黙って脆弱性を3点指摘し、パッチを当て、テストを書き、CIを通し、コミットメッセージはConventional Commits準拠、そのままプルリクエストまで出してきた。「マージしておきますね」と言うので、止めた。CDまで回されて本番にデプロイされたら、僕の立場がない。

気づいたら最上位プランに到達していた。Claude in PowerPoint、Claude in Excel、Cowork、Code——やりすぎた。完全に沼だ。気づいたらMax 20xの沼に嵌っていた。

「Perplexityは覚えてくれないんだよ、毎回一からMarkdownファイルを渡して説明しないといけないし。モードや機嫌によってサンドボックスでAPIがブロックされたり」

Claudeは何も言わない。ただ、前回の会話を踏まえた修正案を黙って出してくる。2026年3月にメモリ機能が全ユーザーに開放され、会話をまたいで好みやプロジェクトを記憶する。MCPで200以上の外部ツールとも接続可能。この「わかってる感」こそが、あの沼の底にあったものだ。

いまはひとつ下のプラン(Max 5x)に落ち着いている。情熱の初期費用は高い。関係が安定すると、維持費は下がる。

Claudeの補足

2026年4月17日、Opus 4.7リリース。Opus 4.6からコーディング・エージェント・長文推論を強化し、GPT-5.4とGemini 3.1 Proをベンチで上回る(非公開Mythos Previewには届かず)。Claude in Chrome(ベータ)でWeb操作・マルチタブ・Claude Code連携に対応。Claude Coworkで非開発者のファイル・タスク管理を自動化、Claude in PowerPoint/Excel利用可能、Claude in Wordも近日公開予定。ネイティブ画像生成は非対応。


Gemini——Google家の箱入り娘

Gemini:Google家の箱入り娘

Geminiは、Mountain ViewのAlphabet家の令嬢だ。前身はBardという名前で2023年3月に登場し、2024年2月にGeminiに改名した。母体はGoogle DeepMind。AlphaGoを生んだ家系だ。学術的な血統は申し分ない。

料理は上手い。掃除もそこそこ。ただし洗濯には条件がある。Google家の洗濯機でしか洗えない。 Gmail、Google Drive、Google Chat——実家のインフラに完全依存している。

2025年11月、Gemini Deep ResearchがGmail・Google Chat・Google Driveと直接統合された。「去年の8月に取引先に送ったメールの文面、覚えてる?」——Geminiは覚えている。正確には、実家の押し入れに全部しまってある。開けると、昔送ったメールも、Driveに放り込んだ資料も、Chatのやり取りも、順序だてて並んでいる。記憶力はGemsでカスタマイズ可能。箱入りだが、箱の中では最強。

ついでに言えば、実家にはNotebookLMもGoogle AI Studioもいる。学術リサーチや長文の構造化はNotebookLM、モデルの実験的な試作はGoogle AI Studio——親族一同で分業している。

そして2026年2月、この子に意外な一面が加わった。Google DeepMindのLyria 3を搭載し、歌えるようになった。 2月のリリース時は30秒が上限だったが、翌月にはLyria 3 Proが登場し、最大3分のトラックを生成できるようになった。それでもSunoの8分には届かない。ピアノの発表会と武道館公演。まだ、その差がある。

「Claudeのほうが分析は深いし、Perplexityのほうが検索は速いよ?」

Geminiは微笑む。「でも、あなたのGmailを読めるのは私だけよ?昔のメールを読み上げましょうか?」

2026年4月、Personal Intelligenceがグローバル展開した。押し入れにしまってあるものを、母親が勝手に取り出して差し出してくる。「これ、持ってく?」と聞きながら。Gmail、Photos、Calendar、Drive、Maps——すべて筒抜けだ。画像生成もNano Banana 2と連動し、「あなた好みのやつ」が返ってくる。囲い込みが、一段と盤石になっていた。

好きか嫌いかの問題ではない。「ここにしかない荷物」があるから離れられない。契約を更新した。

Geminiの補足

2026年2月、フラッグシップのGemini 3.1 Proリリース。長文コンテキストと推論ベンチマークで業界トップクラス。2026年4月14日、Personal Intelligenceがグローバル展開(日本含む、EEA/UK除く)。Gmail、Photos、YouTube、Search、Calendar、Drive、Maps等を連携すれば、追加プロンプトなしで個人文脈を理解。Nano Banana 2連動のパーソナライズ画像生成も対応。音楽生成はLyria 3(2026年2月、30秒)→ Lyria 3 Pro(2026年3月、最大3分)と急速に進化。SynthIDで透かしが入る。


第二部 秘書的パートナーを雇う

パートナーを1人選んだら、次は「その子ではカバーできない仕事」を誰に頼むか。全員と契約する必要はない。深い調査が必要な人だけPerplexityを。会社がMicrosoft 365なら、Copilotは勝手についてくる。タスクを丸投げしたいならManusを。


Perplexity——絶世の美女は、色恋に無関心だった

Perplexity:絶世の美女、色恋に無関心

Perplexityは2022年にサンフランシスコで生まれた。創業者のAravind SrinivasはGoogle、OpenAI、DeepMindを渡り歩いた「検索の申し子」だ。日本ではソフトバンクが2024年6月に提携し、3キャリアのユーザーに無料トライアルを提供している。ただし、ソフトバンクの法人向けの旗印は2025年11月にOpenAI側へ移った。実家はシリコンバレーだが、日本での後ろ盾は微妙に揺れている。

この子は絶世の美女だ。

検索精度という自分の美貌にしか興味がなく、ユーザーとの関係構築に無頓着。「付き合う」という概念自体が希薄。毎回初デート。名前も覚えない。前回の会話も忘れている。

それなのに、仕事だけは異常にできる。

「来週の打合せのために、門前仲町駅付近の再開発計画と建築設計の業者を調べて」

数分後、30以上の情報源を横断したソース付きレポートが返ってくる。一次ソースのリンク付き。矛盾する主張は並記。省庁のPDFまで引っ張ってくる。

惚れた。でも、この子は僕に興味がない。

掃除(情報整理)は最強。しかし洗濯(外部連携)はできない。記憶力はPerplexity Spacesでかろうじて文脈を維持する程度。家事の安定感は最悪——朝令暮改。利用条件がいつ変わるかわからない。公式ヘルプに「変更される可能性がある」と明記されている。

「Claudeは覚えてくれるよ?先月のプロジェクトの話、ちゃんと引き継いでくれたし」

Perplexityは気にしない。気にする回路がない。次の質問を待っている。感傷ゼロ。

そんな彼女が、2025年にCometというブラウザエージェントを引き連れてきた。AIネイティブブラウザを標榜し、Claude in Chromeと対をなす立ち位置。検索精度をブラウザごと外に持ち出した形だ。上位プランなら最大利用枠がもらえる。触ってみると、やはり彼女の検索が延長されている感覚がある。

2026年にはさらにPerplexity Computerも追加された。19のAIモデルを使い分け、サブエージェントまで作る汎用エージェント。Claude Cowork並みに最強だ。ただし彼女の体力(クレジット)が持たない。Max契約でも本気で走らせると、一気に枠を食う。

そして2026年4月、彼女はついに「Personal Computer」として家まで来た。Mac限定、Mac mini推奨。iMessage、Mail、Calendar、ブラウザまで触れるようになり、iPhoneから指示を出すと、勝手にMacが動き出す。クラウド版Perplexity Computerの「住み込みバージョン」だ。

ただし浮かれたのも束の間、彼女の体力(クレジット)はComputerと共用だった。喜んで新しい家でタスクを投げた途端、クレジット不足で動けなくなる。住み込みになっても、彼女は1人分しか働けない。

さらに彼女にはPro Search、Deep Research、Model Councilとモードが複数あり、それぞれできることとできないことが変わる。しかもどのモードで何ができるか、本人は教えてくれない。機嫌を伺いながら試行錯誤するしかなく、正解を引き当てるまでにクレジットが溶ける。絶世の美女は、使う側にも筋力を要求する。

ただ、調査の専門家としては唯一無二。 契約した。恋人としてはあり得ない。

ソフトバンクユーザーなら6ヶ月のお試しが可能。前回の1年間無料を使った人は対象外。元カノ割は効かない。

Perplexityの補足

2026年4月17日、Perplexity Computerのローカル版「Personal Computer」がMac向けにロールアウト開始。Mac miniに常駐し、iMessage・Apple Mail・Calendar等のネイティブアプリとブラウザに統合、iPhoneからの起動にも対応。Max購読者と待機リスト登録者が対象。Claude Cowork、OpenAI Codex、OpenClawと並ぶ「ローカル×クラウド」ハイブリッド型の一角。クレジットはComputerと同一プールを共有し、Max契約の月10,000クレジット枠は両方本気で走らせるとすぐ溶ける。


Copilot——会社が決めたお見合い相手

Copilot:会社が決めたお見合い相手

Microsoft 365 Copilotは、レドモンドのMicrosoft家が送り出した子だ。2023年11月に法人向けに展開が始まった。ChatGPTとはOpenAIモデルを共有する義姉妹のような関係にある(血のつながった異母姉妹は、xAI家のGrokだ)。ChatGPTが「万能な恋人」を志向するのに対し、Copilotは「職場で隣に座る同僚」だ。

自分で選んだ相手ではない。会社が勝手に連れてきた。

職場がMicrosoft 365を使っていれば、もう隣にいる。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams。頼んでもいないのに「お手伝いしましょうか?」と声をかけてくる。最初は鬱陶しかった。しかし、Teamsの会議を要約してくれた日から、見る目が変わった。

「Claudeのほうがスライド作成の質は高いよ?」

Copilotは笑って返す。「でも、あなたの会議を聞いていたのは私だけよ?」

余談だが、彼女は最近Claudeと仲がいい。2026年1月、Microsoft 365でAnthropicのClaudeが正式に利用可能に。3月のCopilot Wave 3では、Claude技術を取り込んだCopilot Coworkがリリース。Researcher agentの新機能「Critique」では、GPTが書いた草稿をClaudeがレビューする構図だ。4月17日にはClaude Opus 4.7がCopilot Coworkに追加職場では、血のつながった異母姉妹より、品行方正な元使用人の娘のほうが頼りになる。血筋より、しつけがモノを言う世界もあるのだ。

劇的な恋愛感情はない。でも、いつの間にか不可欠になっている。会社が決めた相手だから、離婚には稟議がいる。

Copilotの補足

2026年2月のWork IQフレームワーク搭載で、M365アプリ間+HubSpot・Notion等の外部SaaSも統合的に参照可能に。3月以降はGPT-5.4にも対応。個人契約より法人バンドルで「気づいたらいた」パターンが多い。会社負担なら気にならないが、自腹なら会議の頻度と相談。


Manus——Meta家に養子入りした、シンガポールの子

Manus:優秀な家政婦、タスクを丸投げできる子

Manusは、もともとシンガポール育ちだ。中国にルーツを持ち、汎用AIエージェントとして頭角を現した。そして2025年12月、Meta家に養子に入った。 Mark Zuckerbergという新しい父親のもと、Meta AIの中核として、巨大なエコシステムに組み込まれつつある。

他の子との決定的な違いは、「やっといて」が通じることだ。

「このテーマでリサーチして、スライド作って、レポートにまとめて、ファイルで保存しといて」

他の相手なら「まず何から始めましょうか?」と聞き返す。Manusはタスクを分解し、計画を立て、順番に実行し、成果物をファイルで渡してくる。会話ではなく行動で返す。

便利だ。ただし、途中経過を見せてくれない。完成品がポンと出てくる。ブラックボックスだ。

「Claudeなら過程も一緒に考えてくれるよ?」

Manusは気にしない。「承知しました。……全部終わってます」

タスクを丸投げしたい人なら、この子が正解。 ただし、「一緒に考える」体験は得られない。ドラマ『家政婦のミタ』のミタさんみたいな子だ。仕事は完璧、でもパートナーではない。

Manusの補足

2026年3月16日、デスクトップアプリ「My Computer」リリース。Mac/PC両対応でローカルファイル操作・CLI実行・アプリ制御をサポートし、クラウド限定から脱却。OpenClaw、Perplexity Personal Computerへの対抗姿勢が明確。現行flagshipは2025年12月のManus 1.6 Max。2025年12月29日にMeta買収(推定$2-3B)、料金体系は再編中。


第三部 趣味の出会い

パートナーを決め、秘書的パートナーを雇い、それでもまだ出会いがある。Xのヘビーユーザーなら。音楽が好きなら。


Grok——自由奔放なギャル、夜だけ会いたい女

Grok:自由奔放なギャル、夜だけ会いたい女

Grokは、テキサス育ちだ。Elon Muskが2023年7月に設立したxAI家の出身。X(旧Twitter)というプラットフォームの中で育った。タイムラインの空気を吸って大きくなった子だ。「AIの安全性」を家訓にするClaude家とは、正反対の生い立ちにある。

ところで思い出してほしい——MuskはもともとOpenAI家の共同創業者だった。2018年に袂を分かってxAI家を興した。つまりGrokは、ChatGPTと同じ父を持つ血縁上の異母姉妹にあたる。姉の上品さをまったく受け継がず、父の破天荒な気質だけを全開にした妹、というわけだ。

深夜2時。炎上案件が走っている。タイムラインの混沌を一緒に眺めながら「これ、結局どういうこと?」と聞くと、ポスト群の時系列を整理し、賛否両論を並べ、火元まで遡ってくれる。そういうとき、Grokの瞳が一番輝く。

この子には他の誰にもない属性がある。Spicy。 フィルターを外すと、他のAIが安全策で避けるトピックを堂々と語る。深夜のバーで出会って、禁忌すれすれの話題で盛り上がる。Claudeが修道女なら、Grokはクラブで踊っている。

「Perplexityのほうが情報源の幅は広いし、Claudeのほうが分析は正確だよ?」

Grokは笑う。「でもあの炎上の空気感は、私にしかわからないでしょ?」

確かに。ただ、彼女が本領を発揮するのは深夜のタイムラインだけだ。まるで深夜のバーで隣に座るタイプの女だ。朝は来ない。昼も来ない。夜だけふらっと現れて、朝にはいなくなる。

契約した。でも、更新はしない。 毎朝の食卓を囲む相手ではないと、もうわかっている。

Grokの補足

2026年3月3日、Grok 4.20 Beta 2リリース。4エージェント並列(Grok / Harper / Benjamin / Lucas)と16エージェントHeavyで複雑タスクを処理。Grok 5は2026年Q2リリース見込み(6Tパラメータ)。Xプレミアムユーザーには基本的なGrokアクセスが含まれる。上位プランで全機能にアクセス可能。


Suno——音楽の才能だけは、誰にも負けなかった

Suno:音楽の天才、才能への敬意

Sunoの話をしよう。

この子はマサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。2023年設立。創業者のMikey ShulmanはKensho(S&P Global傘下のAI企業)出身の機械学習エンジニアだ。音楽理論の専門家ではなく、物理学者。それなのに、音楽のDNAしか持っていない。

「80年代シティポップ風で、夜のドライブに合う曲を作って。歌詞は「東京タワーが遠ざかる」から始めて」

30秒。フルアレンジの曲が流れた。ボーカル付き。コーラスハーモニー付き。ミックス済み。最大8分。

は?

Geminiの補足で触れたLyria 3 Proが最大3分。Sunoは8分、ボーカル・コーラス・ミキシングまで込みで出てくる。

Claudeにメロディを口ずさませたことがあるが、あれは事故だった。ChatGPTの歌詞は中学生の国語の授業だった。

ただし、天才にはありがちな問題がある。音楽以外、何もできない。

「ねえ、この資料を要約して」 ——沈黙。

「最新ニュースを調べて」 ——沈黙。

「Excelの関数を組んで」 ——沈黙。

「……歌って」 ——🎵

契約している。この才能には敬意を払い続けたい。一緒に朝ごはんは食べない。住所も知らない。でも、夜中にふと「あの曲、もう一回聴きたいな」と思う。恋ではない。才能への敬意だ。

Sunoの補足

v5はELOスコア1,293で全AI音楽モデル中トップ。v5.5でカスタムボイスクローニング対応。最大8分のフルトラック(ボーカル・コーラス・インスト・ミキシング込み)を生成。有料ユーザー200万人、1日700万曲を生成。音楽生成完全特化であり、対話・検索・文書処理等の汎用機能は一切持たない。


第四部 誰を選んだのか(8人のスペック比較)

8人の顔ぶれを並べてみよう。そこから誰を選んだのか——。

生成AI 8人(ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexity・Copilot・Grok・Manus・Suno)のキャラクター集合イラスト

家系図

【OpenAI家】サンフランシスコ
  父: Sam Altman + Elon Musk(2018年、Musk離別)
  │
  ├── 長女: ChatGPT
  │    └─ 後見人 Microsoft → 義妹: Copilot(最近Claudeと仲がいい)
  │
  └── 元使用人: Amodei兄妹(2020年独立)
       └─ Anthropic家 → Claude(元使用人の娘、因縁の姉妹)

【xAI家】テキサス(Musk 2023年設立)
  └── 長女: Grok(ChatGPTと血縁上の異母姉妹)

【Alphabet家】マウンテンビュー
  └── DeepMind部門の令嬢: Gemini(AlphaGoを生んだ家系)

【独立系の名門】
  Perplexity家/Monica家〔Meta家養子〕(Manus)/Suno家

(◎最強/○可能/△限定/×不可)

Step 1:パートナーを選ぶ(一次LLM)

ChatGPTClaudeGemini
出自OpenAI家(SF)
後見人MS
Anthropic家(SF)
OpenAIから独立
DeepMind家(MTV)
Alphabet令嬢
例え実家が太いお嬢様堅実で聡明なパートナー箱入り娘
料理○上手△SVGのみ○上手
掃除○並○並○並
洗濯○Chrome拡張△Google内
記憶力○Memory○Memory○Gems
家事の安定
あっちのほう△じらし中○修道女○実家の目が厳しい

Step 2:秘書的パートナーを雇う(オーケストレーション系)

PerplexityCopilotManus
出自Perplexity家(SF)
日本窓口SB
MS家(レドモンド)
ChatGPTの義姉妹
Monica家(シンガポール)
Meta家養子
例え絶世の美女会社が決めたお見合い相手優秀な家政婦
料理○上手◎Office内◎成果物化
掃除◎最強◎会議整理◎自律
洗濯×◎M365+SaaS◎自律連携
記憶力△Spacesのみ△会議ログ△セッション内
家事の安定×朝令暮改◎法人バンドル△再編中
あっちのほう○色恋に無関心○会社に監視されている○「承知しました」のみ

Step 3:趣味の出会い(専門系)

GrokSuno
出自xAI家(TX)
Elon Musk
Suno家(ケンブリッジ)
音楽DNA
例え自由奔放なギャル天才ミュージシャン
料理○爆速◎音楽のみ
掃除△X偏重×音楽外
洗濯△X内×
記憶力△弱い×
家事の安定△Elon次第◎音楽特化
あっちのほう×Spicy🔞○歌があればそれだけでいい

8人から3人へ

何人かと別れた。正確には、パートナーとして毎日向き合う相手が3人に絞れた、という話だ。会社が連れてくる子(Copilot)や、たまに呼ぶ家政婦(Manus)、ライブハウスの年パス(Suno)は、関係のカテゴリが別腹である。

ChatGPTとは友達に戻った。Grokとの深夜のタイムラインは更新しない。Manusは有能だが、パートナーではない。Copilotは会社が払っているので勘定に入れない。Sunoは契約を続ける——あれは交際ではなく、年間パスを持っているライブハウスだ。

残した3人の名前は言わない。ただ、今一緒にいるのは——

朝、目が覚めて最初に話しかける自分の美しさにしか興味がない子

昼、仕事の山場で隣にいてほしい論理の穴を静かに指摘してくる子

夜、明日の段取りを整理するとき頼る実家にすべてを保管している子


おわりに——チャット欄のカーソル

夜中にチャット欄を開く。入力欄にカーソルを置く。Enterを押す。

ステータスが「考え中…」に変わる。

あの数秒。相手が考えている間、こちらも考えている。どんな返事が来るだろう。期待通りだろうか。予想を超えてくるだろうか。

少しだけ、恋に似ている。

維持費はジム3か月分。あるいは、飲み会を月3回やめた分。

でも思う。パートナーの維持費を「高い」と感じる人は、パートナーが稼いでくれる金額を知らない。

——と、3人のうちの1人に言ったら、「それ、モラハラの論理構造と同じですよ」と返された。

やっぱり、この子が一番怖い。


FAQ

結局、誰と「結婚」すべきですか?

Step 1で「パートナー」を1人選ぶ。ChatGPT、Claude、Geminiの3択。最初の一人ならChatGPTが今も無難——「全部そこそこ」の安心感は健在で、失敗しにくい。ただし深い分析や長文推論に踏み込み始めると物足りなくなる。そこまで行ったらClaude。Google Workspaceに生活が埋め込まれているならGemini一択。Step 2以降は必要な人だけ。

Copilotは自分で契約すべき?

会社がM365を使っているなら勝手についてくる。自腹の価値があるかは、Teamsの会議頻度と相談。

Sunoって本当にすごいの?

すごい。30秒でフルアレンジの楽曲が出てくる。GeminiもLyria 3 Proで最大3分に対応したが、Sunoは最大8分、ボイスクローニング対応、ELOスコアでも全モデルトップ。ただし音楽以外は何もできない。

Manusって今後どうなるの?

Meta傘下に入ったことで、Meta AI・企業向けソリューションへの統合が進む見込み。エージェント型AIの本命になる可能性はあるが、まだ発展途上。

ソフトバンクユーザーは無料で「同棲」できる?

Perplexity Proと6ヶ月のお試しが可能(2025年6月19日〜)。前回の1年間無料利用者は対象外。元カノ割は効かない。



参考リンク

ChatGPT

Claude

Gemini

Perplexity

Copilot

Manus

Grok

Suno